2008年12月1日から7日まで渡米し、ミツバチCCDの現地調査を行った。2008年後半期におけるCCDによるミツバチコロニーの消失については、まだデータが存在していない。2009年2月から3月においてCCDのピークが見られる可能性がある。米国の研究者は、CCDは1つの原因によって引き起こされる疾病ではなく、栄養不足や農薬等によりストレス状態にあるミツバチが複数の病原体(ダニの寄生、カビの感染、ウイルス感染等)に晒されて生じると考えている。また、養蜂業者は近年の米国内における農業形態の大きな変化を認識しており、これに伴いミツバチの管理と維持方法に注意を払う必要があることを強調していた。USDAの研究者からCCDコロニーのミツバチサンプルを頂き日本に輸送しようとしたが、農林水産省動物検疫所関西空港支所により止められた。したがって、日本国内における米国CCDの研究の遂行は不可能である。 昨年冬以降、日本国内においても花粉交配用のミツバチ不足が大きな問題となってきた。日本各地の養蜂家を対象にミツバチの管理と維持に関するアンケートを行ったところ、コロニー消失の報告が幾つか存在していた。原因は不明であり、CCDと同様な現象である可能性もある。そこで、全国レベルで各地の養蜂業家からミツバチをサンプリングし、CCDとの関連性が示唆されている様々な病原体(気管ダニ、Nosema apisとNosema ceranae、各種ウイルスIAPV/KBV/DWV/BQCV/ABPV)の存在の有無について解析を行う。現在までに、全国レベルでこのような疫学調査は行われておらず、日本国内におけるCCD発生の可能性について検討する。
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