研究課題
本研究課題では、赤かび病が産生するかび毒であるデオキシニバレノールのスクロースによる産生誘導とスクローストランスポーターホモログ遺伝子との関係を解析する。本年度は前年度に得られた遺伝子破壊菌株を用いて、液体培地でのデオキシニバレノール産生について解析した。前年度に単離したスクローストランスポーターホモログ遺伝子2種類(sut-1、sut-2)のそれぞれの遺伝子破壊菌株をマングビーン液体培地で培養し分生胞子を回収した。濃度調整した分生胞子液をスクロース又はグルコースを炭素源としたFG液体培地で8日間培養し、培養後の菌体生育量及び培養濾液中のデオキシニバレノール量の測定を行った。菌体生育量は、8日後の培養菌体を濾紙上に回収し、1日60℃で乾燥後の重量を測定した。両遺伝子破壊菌株とも非遺伝子破壊菌株と同等の生育を示した。次に、培養濾液に含まれるデオキシニバレノール量を定量した。培養濾液中のデオキシニバレノールは、濾液を精製カラムに通し、エバポレーターで乾固後に、水・アセトニトリル液に溶解し、HPLCにより分析・定量を行った。グルコースを炭素源とした場合は、両遺伝子破壊株はともにデオキシニバレノールを産生しなかった。一方、スクロースを炭素源とした場合、両遺伝子破壊株ともにデオキシニバレノール産生が誘導されていた。このことから、単離した2種類のスクローストランスポーターホモログ遺伝子は、Fusarium graminearumのデオキシニバレノール産生誘導に関して、スクロースの認識及びその情報伝達に関わっていないことが予想された。
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JOURNAL OF EXPERIMENTAL BOTANY 60
ページ: 3687-3696
Dynamic Biochemistry, Process Biotechnology and Molecular Biology 3
ページ: 65-69
ページ: 78-84