研究概要 |
本研究では、近年「RNA新大陸」として認知されるようになったノンコーディングRNA (ncRNA)がRNAi機構を利用して温度変化を感知し、「熱・生命システム」を制御しているかについて調べました。nat-siRNへta-siRNAなどのRNAi機構の低温感受性を調べ、これが「RNAiサーモメーター」として温度により遺伝子発現を制御しているかを解明します。これによりncRNAの新たな機能、生命システムの熱感知応答システムを明らかにし、「RNAiサーモメーターを利用した低温遺伝子発現制御系の構築を目指します。シロイヌナズナではta-siRNAの前駆体ncRNAとして、TAS1a, TAS1b, TAS1c, TAS2, TAS3, TAS4が知られています。TAS3からつくられるtasiRNAターゲットとしてARF(Auxin response factor)遺伝子群、TAS2からは機能不明のPPR(pentatricopeptide repeat protein)遺伝子群、TAS4からMYB様転写因子、TAS1から機能不明の遺伝子が知られています。これらのターゲット遺伝子の発現が低温条件によって変化するかどうかについて調べたところ、TAS2およびTAS3ターゲット遺伝子の発現は低温においてもあまり変化しませんでしたが、TAS1とTAS4ターゲット遺伝子の発現は低温により上昇することがわかりました。さらに、ターゲット遺伝子の発現が上昇したTAS1由来のta-siRNA生成量が低温により減少することがわかりました。これらの結果から、すくなくともTAS1については低温に反応し、遺伝子発現を調節する機能を有するものと考えられました。
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