研究概要 |
インフルエンザウイルスの低温馴化:インフルエンザウイルスのWSN株ではHA遺伝子とVSV-G遺伝子の置換、NA遺伝子とGFP遺伝子の置換が可能であることが分かっているので、この株を用いての低温馴化を試みた。ウイルス増殖によく用いられるMDCK細胞での33℃への馴化は可能であったが、29℃への馴化は複数回の試みにも関わらず認められなかった。そこで、既に低温馴化したインフルエンザウイルスKA株を出発材料にすることに切り替えた。 低温馴化ウイルスKA株の遺伝子クローニング:KA株の8本の分節ゲノムのうち、HAおよびNA以外の6つの遺伝子(PA, PB1, PB2, NP, M, NS)のcDNAを作製し、ウイルスゲノム作製用プラスミドpPo1Iにクローニングした。これら6つのKA株由来pPo1IプラスミドとWSN株由来のHAおよびNAのpPo1Iプラスミドを用いてインフルエンザウイルスのリバースジェネティクスを行ったところ、増殖性のウイルスが得られた。よってKA株由来の遺伝子を用いたリバースジェネティクスは可能であることが確認できた。 WSN株のHAおよびNA分節のcDNAの遺伝子操:HA遺伝子をVSV-G遺伝子置き換えたウイルスの場合、増殖に伴ってVSV-G蛋白質の細胞質内領域の13アミノ酸が消失することが知られているので、実験効率の向上のため、あらかじめ該当する13アミノ酸の遺伝子部分を削除したVSV-G遺伝子をHAのpPolIプラスミドに挿入した。また検出感度を高めるため、GFPよりも蛍光強度が高いVenusの遺伝子をNA遺伝子部分に挿入したpPolIプラスミドも作製した。
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