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2009 年度 実績報告書

卵細胞質抽出系を用いた体細胞のリプログラミング誘導

研究課題

研究課題/領域番号 20658081
研究機関京都大学

研究代表者

今井 裕  京都大学, 農学研究科, 教授 (10303869)

キーワードリプログラミング / 脱分化 / 無細胞抽出系 / 多能性誘導 / 全能性誘導
研究概要

前年度までに、アフリカツメガエルの卵母細胞抽出液が、哺乳動物(ウシ、マウスおよびブタ)の体細胞をリプログラミング誘導することが可能であることを示した。しかし、誘導されたリプログラミングは、体細胞に特異的な遺伝子発現が消失し、多能性マーカー遺伝子およびタンパク質の発現が見られるように体細胞としての性質は大きく変化するが、その発現量などは低く、カエル卵細胞質の哺乳動物体細胞に対するリプログラミング誘導能は低いと考えられた。一方、哺乳動物の体細胞クローン技術においては、リプログラミングは同種の体細胞にのみ誘導されることから、本年度は、ブタの卵細胞を用いて、無細胞抽出系の確立を目指すとともに、リブログラミングの誘導能をカエル卵抽出系と比較した。ブタの卵母細胞由来の卵抽出液は、ブタの体細胞に対してリプログラミングを誘導しうることが明らかとなった。さらに、同じ卵母細胞でも、卵核胞期卵母細胞と成熟卵母細胞ではリプログラミング能が異なり、前者は多能性細胞へのリプログラミングを、後者では体細胞に特異的な転写活性の抑制と脱アセチル化が誘導されることがわかった。さらに、このリプログラミングは、ブタのみならず、マウスやウシにおいても同様のリプログラミングが誘導可能なことが知られた。しかし、依然として、多能性マーカー遺伝子の発現を指標にしたリプログラミング誘導能は低いことから、脱アセチル化酵素阻害剤であるバルプロ酸により、卵細胞抽出液処理前に体細胞を処理すると、体細胞のヒストンアセチル化、多能性マーカー遺伝子の発現量、多能性細胞様のコロニー形成能のいずれにおいても、従来の抽出液処理より増加し、よりリプログラミングの効率性が高まったと考えられた。しかし、依然として、マウスES細胞などの遺伝子発現プロフィールとは大きな隔たりがあることから、本実験系で誘導されているリプログラミングの詳細な検討が必要であると考えられた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2010 2009 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Reprogramming of somatic cells in cell-free extracts from mammalian oocytes2009

    • 著者名/発表者名
      Miyamoto K, Tsukiyama T, Yang Y, Li N, Minami N, Yamada M, Imai
    • 雑誌名

      Biology of Reproduction 80

      ページ: 935-943

    • 査読あり
  • [学会発表] ブタ卵子抽出液とヒストン脱アセチル化酵素阻害剤を用いた哺乳類体細胞へのリプログラミング誘導2010

    • 著者名/発表者名
      北村尚也・松本舞・南直治郎・山田雅保・今井裕
    • 学会等名
      第135回日本生殖医学会関西支部集談会
    • 発表場所
      大阪市立大学医学部
    • 年月日
      2010-03-13
  • [学会発表] ブタ卵子抽出液によるブタ繊維芽細胞の効率的なリプログラミング誘導2009

    • 著者名/発表者名
      北村尚也・宮本圭・松本舞・南直治郎・山田雅保・今井裕
    • 学会等名
      第59回関西畜産学会
    • 発表場所
      鳥取大学農学部
    • 年月日
      2009-08-27
  • [学会発表] 卵抽出液による体細胞のリプログラミング誘導2009

    • 著者名/発表者名
      今井裕
    • 学会等名
      第50回日本哺乳動物卵子学会
    • 発表場所
      都市センター (東京)
    • 年月日
      2009-05-08
  • [備考]

    • URL

      http://www.reprod.kais.kyoto-u.ac.jp/index.htm

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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