Aktによるリン酸化を検討するために、時計遺伝子産物CLOCKとBMAL1のトタンパク質を大腸菌に発現させ、GSTタグ付きリコンビナントタンパク質として精製することに成功した。精製済みAktと試験管内で^<32>P-ATP存在下で反応させることにより、時計遺伝子産物のAktによるリン酸化を確認した。さらに、時計遺伝子産物CLOCKとBMAL1の断片タンパク質発現バクターを作製し、各々大腸菌より精製を行なった。本断片タンパク質を用いることにより、時計遺伝子産物CLOCKとBMAL1は数カ所の部位がAktによりリン酸化されることを見いだした。主要なAkt依存的なリン酸化部位について、その部位周辺のリン酸化ペプチドをマウスに免疫することで、時計遺伝子産物CLOCKとBMAL1のリン酸化特異モノクローナル抗体を作製することに成功した。本抗体を用いることで、細胞内でもAkt依存的に時計遺伝子産物CLOCKとBMAL1がリン酸化されていることを確認した。各々のリン酸化部位をアラニンに置換した非リン酸化型時計遺伝子を作製し、Per1プロモーターを用いた時計遺伝子産物の転写活性を検討したが、1カ所のみ変異させたものでは弱い転写活性減少しか認められなかった。主要なリン酸化部位を4カ所ほどアラニンに置換することにより、Akt依存的な時計遺伝子産物CLOCKとBMAL1の転写活性化が顕著に抑制された。よって、Aktは時計遺伝子産物をリン酸化することにより、概日周期の進行に寄与している可能性が示唆された。
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