研究概要 |
本研究は、酸化ストレスから脳を保護する薬剤としてのアザアダマンタン型有機ニトロキシルラジカル(2-azaada mantne N-oxyl, 以下AZADOと略記する)誘導体の可能性を検討するものである。AZADOは、TEMPO型有機ニトロキシルラジカル(2, 2, 6, 6-tetramethyl-1-piperininyloxy, free radical)をモチーフとして合成された超安定ラジカルであり、TEMPOより低い酸化還元ポテンシャルを示し、アルコール類の酸化触媒としてTEMPOを凌駕する触媒活性を発揮することが当研究室において見出されている。 本年度は、当研究室で開発した修飾アザアダマンタン合成法を活用して、電子求引性置換基およびアルキル置換基を導入した合成有機ニトロキシルラジカルを15種類合成し、その標準酸化還元電位を測定した。その結果、電子吸引基を置換したAZADO類は、置換基の電気陰性度にほぼ比例して酸化還元ポテンシャルが上昇した。一方、アルキル置換AZADOでは、置換アルキル個数と位置に依存して酸化還元ポテンシャルが低下するという興味深い結果が得られた。また、これら修飾AZADO類は種々の活性酸素(次亜塩素酸、一酸化窒素、スーパーオキシドアニオン)を速やかにクエンチする活性を備えていることも確認された。
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