研究概要 |
我々は、骨髄ストローマ細胞OP9よりkirreのホモログであるmKirre/kirre13/NEPH2をクローニングした(Ueno et al., Nat. Immunol. 4:457-463,2003)。その後、mKirreは神経細胞の軸索伸展、シナプス形成の時期に一致して強い発現が見られ(Tamura et al., Neuroscience 133:615-624,2005)、これらのmKirre発現細胞は、主に視覚、聴覚、嗅覚などの感覚系の神経回路を形成する神経核に属する神経細胞であることを報告した(Morikawa et al., Neuroscience 150:880-886,2007)。そこで、末梢神経系の感覚神経細胞である後根神経節ニューロンにおいてmKirreの発現細胞について検討を行った。 1)後根神経節trkC陽性ニューロンでmKirreの発現を認め、その末梢側の投射先である筋紡錘でのみsnsのマウスホモログであるネフリンの発現がみられた。 2)後根神経節trkC陽性ニューロンの中枢側投射先である脊髄においては、trkC陽性神経線維にmKirreの発現は認められなかった。 3)マウス胎仔大腿部骨格筋の抽出物を用いて抗ネフリン抗体による免疫沈降反応を行ったところ、ネフリンに加え、mKirreの共沈をみとめ、生体内におけるこれらの分子の会合が示唆された。 4)mKirre/kirre13遺伝子座に核移行シグナル(NLS)を付加したβ-ガラクトシダーゼを挿入することによりmKirre/kirre13を欠損させたキメラマウスを得、その後、このキメラマウスをB6マウスと交配しヘテロ組み換え体を得た。
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