研究課題/領域番号 |
20659038
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研究種目 |
萌芽研究
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
熊谷 雄治 北里大学, 医学部, 准教授 (40215017)
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研究分担者 |
川村 道子 北里大学, 医学部, 助教 (00154104)
天野 英樹 北里大学, 医学部, 助教 (60296481)
馬嶋 正隆 北里大学, 医学部, 教授 (70181641)
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キーワード | C57B16マウス / スポンジ / 血管新生 / 線維化 / コラーゲン / Fibrocyte / CD34 |
研究概要 |
8週令の雄性C57B16マウス背部皮下にウレタン製のスポンジを移植し、経時的に血管新生をCD31発現量とヘモグロビン組織内濃度で、線維化をコラーゲンの肉芽組織内濃度で評価した。 血管新生は2週まで増加しその後4週まで同程度の値を保った後に、8週までに急激に減少した。一方、コラーゲンは2週までに急増した後に、ほぼ8週間の観察期間中、プラトーを示し、血管新生と異なる推移を示した。肉芽内の細胞はマクロファージ様、線維芽細胞様の細胞が主体で、好中球等の顆粒球はほとんど認めなかった。FibrocyteのマーカーであるCD34を免疫組織化学で染色したところ、肉芽組織中に2週目から出現し、高い頻度を維持していた。Real time PCRでもCD34mRNAが2週目から高値を示すようになり、以後でも高値を持続した。対照的に血管新生増強因子のVEGF-Aは、スポンジ移植後1-2週の早期の間に高値を示すのみにとどまり、以後は急激に減少していった。TGFβのmRNAレベルは、スポンジ移植後3週以降で高値を示すことが判明した。以上のように、線維化と血管新生の時間経過は異なり、CD34陽性のFibrocyte様の細胞がスポンジ肉芽組織に動員されてくることが判明した。線維化と血管新生のスイッチングがこのモデルで起きていること、VEGFの減少とCD34陽性のFibrocyte様の細胞の動員が、キーとなることが推定される。 今後は、いくつかの液性因子に焦点を当て、線維化と血管新生のスイッチングの制御系を解明していきたい。
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