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2009 年度 実績報告書

脂肪細胞の酸化・還元調節の破綻とインスリン抵抗性惹起の分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 20659046
研究機関独立行政法人医薬基盤研究所

研究代表者

竹森 洋  独立行政法人医薬基盤研究所, 基盤的研究部代謝シグナルプロジェクト, プロジェクトリーダー (90273672)

キーワードSIK / CREB / 酸化還元 / 脂肪細胞 / 肥満
研究概要

生体エネルギーの産生に必要不可欠な酸化反応には必ず活性酸素が生じ、その蓄積の結果として種々の病態が惹起される。肥満状態からインスリン抵抗性・糖尿病への移行過程にも活性酸素を介した酸化ストレスが関与していると考えられている。NADPHオキシダーゼ阻害剤等の抗酸化物質がインスリン抵抗性・糖尿病に対して予防効果を示す可能性がある事実もこの仮説を後押ししている。酸化ストレスでインスリン抵抗性が惹起される分子機構としては、ストレス応答キナーゼであるJNKを介したインスリレセプターやIRS-1のセリンのリン酸化による、シグナル伝達能の低下等が提案されている。本研究では、肥満による酸化ストレス誘導の前段階の解明を目指し、酸化還元応答機構のSIK-FOXO1の制御を詳細に解明した。具体的には、SIKのグルタチオンの応答する配列を決定したところ、アクチベーションループと呼ばれる領域の活性化に必要な2つのリン酸化部位の中間に位置するCysであった。このCysをSerへ変換すると、SIK2の活性はいかなる状態でも一定を保つ反面、Alaへの置換は活性が消失した。SIK2-KOマウスの解析から、Mn-SODが高発現していることが示唆された。この経路はFOXOファミリーで誘導されていた。SIK2阻害剤を作製し培養細胞で検討した結果、やはりSIK2阻害状態でMn-SODで誘導された。さらに、SIK2を阻害すると虚血性疾患(特に脳梗塞)に有用であることが示唆された。一方、SIK2-KOマウスは僅かな肥満を示した。酸化ストレスの軽減された状態で、摂食抑制ホルモンのレプチンの発現低下が起こることが原因であった。しかし、SIK2-KOマウスではインスリン感受性は変化していないことから、SIK2による酸化還元ストレスの調節は軽度なストレスの範囲内であろうと予想される。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) 産業財産権 (1件)

  • [雑誌論文] Involvement of SIK2/TORC2 signaling cascade in the regulation of insulin-induced PGC-1{alpha}and UCP-1 gene expression in brown adipocytes.2009

    • 著者名/発表者名
      Muraoka M, Fukushima A, Viengchareun S, Lombes M, Kishi F, Miyauchi A, Kanematsu M, Doi J, Kajimura J, Nakai R, Uebi T, Okamoto M, Takemori H
    • 雑誌名

      Am J Physiol Endocrinol Metab 296

      ページ: 1430-1439

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Blocking the salt-inducible kinase 1 network prevents the increases in cell sodium transport caused by a hypertension-linked mutation in human alpha-adducin.2009

    • 著者名/発表者名
      Stenstrom K, Takemori H, Bianchi G, Katz AI, Bertorello AM.
    • 雑誌名

      J Hypertens 27

      ページ: 2452-2457

    • 査読あり
  • [学会発表] マウスを利用した血中コレステロールの評価系とその応用2009

    • 著者名/発表者名
      竹森洋、河原秀久
    • 学会等名
      全日本科学機器展in大阪2009
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      20091000
  • [学会発表] 塩誘導性キナーゼ2(SIK2)による食欲調節2009

    • 著者名/発表者名
      竹森洋、上尾達也、堀家なな緒、中井諒、梶村純子、中江淳
    • 学会等名
      第82回日本生化学会大会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20091000
  • [学会発表] SIK2 suppresses insulin-induced PGC-1a and UCP-1 gene expression in brown adipocytes2009

    • 著者名/発表者名
      Takemori H, Uebi T, Nakai R, Kajimura J
    • 学会等名
      IUBMB-FAOBMB2009
    • 発表場所
      上海
    • 年月日
      20090800
  • [学会発表] 目で見る機能性天然素材の効果と創薬への応用2009

    • 著者名/発表者名
      竹森洋
    • 学会等名
      第1回シーズ交換会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20090700
  • [学会発表] 概日リズム関連遺伝子Rgs16遺伝子ノックダウンマウスにおける行動及び代謝異常2009

    • 著者名/発表者名
      早坂直人、青木和之、竹森洋、山口正太郎、能宗伸輔、馬場谷成、若菜茂晴、池上博司、宮澤正顯、柴田重信
    • 学会等名
      第24回日本糖尿病・肥満動物学会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      20090100
  • [産業財産権] 特願2009-2405202009

    • 発明者名
      河原秀久、長岡康夫、竹森洋、小出芳栄
    • 権利者名
      関西大学、有限会社一栄、医薬基盤研究所
    • 産業財産権番号
      特願2009-240520
    • 出願年月日
      2009-10-19

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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