研究課題/領域番号 |
20659056
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研究機関 | 文京学院大学 |
研究代表者 |
小松 博義 文京学院大学, 保健医療技術学部, 准教授 (30170377)
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研究分担者 |
元藤 陽子 文京学院大学, 保健医療技術学部, 助手 (00458556)
小池 盛雄 文京学院大学, 保健医療技術学部, 教授 (00089989)
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キーワード | 抗リン酸化蛋白質抗体 / 免疫組織染色 / 免疫沈降法 / 二次元電気泳動法 / がん / 腫瘍マーカー |
研究概要 |
【平成21年度研究成果】 1. 担がん患者組織と抗リン酸化蛋白質抗体(PPmAb)との反応性の検討として、全154種のPPmAbによる免疫組織染色が完了した。その中に反応性に特徴的なものが見いだされた。抗体(Mab288およびMab174)は、癌部および非癌部でその反応性が大きく異なっていた。すなわち、Mab288は食道扁平上皮癌組織切片において非癌部の扁平上皮を染色したのに対し、癌部のそれにおいては陽性像を認めなかった。さらに、癌真珠部内の癌胞巣が層状分化した部分は陽性像を呈していた。一方、Mab174は胃腺癌組織切片上の非癌部において陽性を示さなかったのに対し、癌部腺細胞の細胞質を特異的に染色していた。これら両抗体は、癌化により細胞内のリン酸化蛋白質発現が変化していることを示唆している。この項目については計画のほぼ100%が達成された。 2. PPmAbについてその特異性を同定するための基礎実験を実施した。免疫沈降法および二次元電気泳動法を用いて検討したが、特異性の同定に至っていない。その原因として、抗体の変性抗原との反応性に問題があることがうかがわれ、現在blue native-PAGE(BN-PAGE)を用いた検討を行っている。その結果、抗体の反応性が上昇し、質量分析計での分析に適したサンプルの調製が可能となりつつある。この項目については計画のほぼ80%が達成された。 以上のことから本研究の目的に一歩近づいたが、PPmAbを用いた「がんの特性解析」までには時間を要することが推測される。当初の目的を達成することは可能と考える。しかし、本研究ではがん特異的に反応する抗体がいくつか見いだされており、その抗原の同定に至れば新たな腫瘍マーカーなどの発見につながる可能性がある。
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