1.表面提示型蛍光タンパク質発現細胞の調整 平成20年度はCD133、Nanog-2、-8のプロモーターを表面提示カセット(膜貫通ドメイン付加GFP)に組み込んで各種がん細胞(SH-SY5Y、MCF-7、Huh7)に発現させたところ、期待していた通りの細胞表面蛍光が得られなかった。CMVプロモーターを用いても一部の細胞にしか強力な発現を認めず、またGFPのシグナルが細胞膜ではなく細胞内小胞に限局していた。このことからGFP融合タンパク質は発現するものの、表面提示カセットの膜貫通ドメインが期待通りに機能しないため細胞膜への移行ができないと考えられた。この問題を克服するために現在コンストラクト改良と遺伝子導入する細胞についても検討を進めている。そのため研究計画が開始当初よりやや遅れて進行しており、平成21年度の実施計画も研究の目的と照らし合わせた上で重要と考えられるものを中心とする形に一部変更した。 2.本システムの動作確認 CD133(CD133プロモーター)-GFP-TM(膜貫通ドメイン付加GFP)コンストラクトを導入したSH-SY5Yの場合、GFP蛍光はあまり強くはなかったが検出できる程度に認めた。そこでCD133の発現とGFP蛍光が相関するかどうかを確認するために、遺伝子導入細胞から安定導入クローンを樹立した。樹立した安定導入クローン細胞のCD133タンパク質の発現を赤色蛍光色素を結合したモノクローナル抗体により検出させ、フローサイトメトリーによりGFP蛍光との相関を確認した。その結果、きちんと相関を認めたクローンと相関が認められなかったクローンの両方が存在しており、今後の実験を進める上で遺伝子導入細胞のクローン間の差を念頭に入れる必要性が示された。
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