研究概要 |
ナノCTによる撮影:放射光施設SPring-8(兵庫)のビームラインBL20XLにおいて、耳小骨(ツチ骨の短突起)をナノCTによって撮影した(東京大学 百生敦博士との共同研究,Spring-8課題番号2008A1279および、2008B1508)。12週令のマウスよりツチ骨を摘出し、エタノールで固定した。ツチ骨は短突起(直径約300ミクロンの球形に近い突起)を解析した。9keVのX線を照射した。撮影は画素数1344×1024のCCDを用いたX線画像検出器を用いて行い、実効画素サイズは顕微鏡の倍率(19.96)を加味して0.217ミクロンであった。一枚の画像取得のための露光時間は5秒であり、微分位相像を得るために5枚の画像を計測した。位相CTはこれを投影数250で繰り返した。視野は直径約300ミクロンの半円であった。ツチ骨端突起は180度回転で撮影し1344×1344画素で再構成した。主なデータとして、ツチ骨12検体の画像が得られた。3次元画像解析:3D-BON(ラトックシステム)などのソフトウエアを駆使して、CT画像を解析し、立体の再構成を行った。骨小腔を描出し、その特徴(体積、方向性、密度など)を数値化して解析した。また、血管の体積、走行についても解析を進めた。電子顕微鏡と組織学的解析:CT画像で得られた骨小腔や骨細管の構造が、透過型電子顕微鏡や、パラフィン切片を鍍銀染色(Bodianの変法)で解析した場合の構造と一致するかどうかを解析した。耳小骨については、骨粗鬆症マウスの解析(Kanzaki et al, 2009)に続き、大理石骨病のマウス(RANKL-/-, Fos-/-)を野生型マウスと比較して、内軟骨性骨化における破骨細胞による骨吸収の重要性を明らかにした(論文準備中)。
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