研究概要 |
骨に埋まっている骨細胞(osteocyte)は、神経細胞のように樹状突起をもち、骨細胞同士や骨表面の骨芽細胞とネットワークを構成している。骨細管(canaliculi)は直径200nmほどの細管で内部に骨細胞の樹状突起を包んでいる。本研究ではマウスの摘出骨を実験材料にX線位相顕微鏡CT(SPring-8,兵庫)やマイクロCT、電子顕微鏡、銀染色などの手法を駆使し、骨細管の走行を立体的に解析することを目的とした。骨細管の描出には分解能と視野のトレードオフがあることが、平成20年度の研究で明らかになったので、耳小骨に加えて、脛骨をプラスチックに包埋したものを切り出したものも解析した。野生型のC57BL/6マウスのツチ骨をさまざまな週齢において摘出し、短突起の血管、骨小腔、骨細管ネットワークを比較解析した。ツチ骨はエタノール固定し、乾燥した状態で、CT撮影を行い、得られた画像から立体再構築を行った(南郷脩史,百生敦らとの共同研究)。さらに骨小腔や血管などの空洞を除いた純粋な骨基質部分(骨基質+骨細管)の部分に焦点をあて、その部分の骨密度(gray scale)の解析を合わせて行った。これらの解析から、骨内部における微小血管と骨細管の連結、さらに骨内部に存在する破骨細胞様の巨大細胞と血管・骨細管の連絡の可視化に成功した。現在、日本骨代謝学会と米国骨代謝学会(ASBMR)に抄録を投稿中である。
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