研究概要 |
本年度、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)など抗生物質耐性菌に対する抗菌活性(NCCLSに準拠したMIC,MBC)を指標に、外科的用瞬間縫合剤のn-Butylcyanoacrylateを用いて抗菌ナノ粒子を合成してその抗菌活性をスクリーニングした。 先ず、重合安定剤に各種の糖あるいは界面活性剤またはそれらの混合物を加え、反応溶液のpHを変えて求核置換反応を速度調節し、粒子サイズと網目構造の異なるアクリル系ナノ粒子を467種類合成し、合成条件と抗菌活性との関連を基に医薬品候補物質を絞り込んだ(投稿中)。 その抗菌構造体は、グラム陽性菌・抗生物質耐性株あるいは感受性株の両者に有効であり、今までの抗生物質とは全く異なった新しい抗菌薬としての実用化が初めて検討できる。 抗菌構造体の物理化学的特性と抗菌活性の関連を検討した結果、高分子構造体の抗菌活性はその粒子の表面電位に強く影響を受けることが判明し、走査型および透過型電子顕微鏡電顕を用いてナノ粒子投与後の菌の形態変化を観察すると、高分子構造体と菌の細胞壁との特異な接合がその抗菌作用に重要な因子となることを見いだした(投稿中)。
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