私たちは、マウスの好塩基球と肥満細胞(マスト細胞)を特異的に認識する2つのモノクローナル抗体(Ba91とBa103)を樹立し、その標的分子がCD200受容体様分子のひとつであるCD200R3であることを明らかにした。これらの抗体を用いた解析から、CD200R3はアダプター分子DAP12と会合して細胞表面に表出し、活性化型受容体として機能することが明らかとなったが、CD200受容体(CD200R)のリガンドであるCD200とは結合しないことが判明した。そこで本研究ではまず、CD200R3リガンド検索のためのプローブとして、CD200R3とIgG-Fcの融合蛋白ならびに分泌型CD200R3-GFP融合蛋白を作製した。これらプローブでマウスの各組織細胞を染色したが、有意な結合を示す細胞は検出されなかった。内在性リガンドのみならず外来生リガンドの可能性を考慮して、入手可能ないくつかの消化管寄生虫との結合を調べたが、明らかに染色される寄生虫はまだ見つかっていない。そこで、CD200R3の結合能を高める目的で、高レベルでCD200R3を発現する細胞株を樹立し、現在これをプローブとして、CD200R3リガンド検索を進めている。もうひとつのアプローチとして、遺伝子データベースを用いてCD200と類似性のある遺伝子検索をおこなった。その結果、アミノ酸配列ならびに蛋白構造の観点からCD200と相同性のある候補遺伝子が見つかった。そこで、この遺伝子産物のリコンビナント蛋白ならびに発現細胞を現在作製中である。
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