目的:医学教育における在宅ホスピスケア実習教育方法の評価研究 方法:本研究は都内にある診療所と隣接する訪問看護ステーションで行われた。医学生と看護学生がそれぞれ1名からなるグループを作り、それぞれ1名の患者が割りあてられた。基礎情報として、年齢、性別、基礎疾患、既往歴、家族構成、身体所見、投薬内容が与えられた。各グループは訪問前に、担当医師、看護師より情報を集め、問題点について整理を行った。実習中に合計4回の訪問を医師と看護師に同行して行い、患者さんやその家族と面会した。各グループはチーム内外で討論を重ね、参考文献検索、研究論文の批判的吟味を経て資料をまとめ、ケアプランを作成した。実習最終日に各チームによる担当患者の症例提示を行い全体討論を行った。実習教育方法の評価方法として、ケアプランの5つの項目(基本的欲求への配慮、身体的側面への配慮、精神的側面への配慮、社会的側面への配慮、患者の家族の精神的側面への配慮)を軸に学生の理解度について評価を行った。また他職種との連携やチーム医療における医師の役割についても同様に評価を行った。終末期医療という性質上、治療よりも「どのように患者をケアしていくべきか」が重要であり、看護師が用いるケアプランを評価に用いたことは医学生にとって画期的であった。また医学生が看護学生と合同実習を行うことで医学・看護学という異なつた視点からより深く終末期医療を理解することができたと考えられた。本研究のように事例に基づく教育方法を公衆衛生の学習法に具体化する方法について、2008年福岡で行われた公衆衛生学会にてケースメソッドによる社会医学実習と題し、米国ハーバード公衆衛生大学院Melissa Perry准教授に米国の例についてご講演をいただきわが国の実習カリキュラム作成に向けて討論、書籍を出版した。
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