本研究では食品に含まれる栄養素などの神経傷害に対する保護作用について検討した。昨年度はそばに含まれるポリフェノール類の1つであるルチンに注目して検討を行った。その結果、化学物質投与によって作成した海馬傷害モデルラットにおいてルチンが脳内の海馬領域の細胞脱落数を抑制する効果が確認された。本年度はまず海馬傷害部位におけるグリァ細胞活性化指標を観察した。その結果、ルチンはグリア細胞の活性化を抑制することが示唆されたが、その抑制はグリア細胞の種類(アストログリアとミクログリア)によって異なる様相を示した。このグリア細胞による抑制の違いついては現在詳細を検討中である。また同様の検討をルチン単独投与ではなく、ルチンを脳内海馬領域の錐体細胞層の脱落およびグリァ細胞活性化を抑制することが示された。これらのことから、老化をはじめとするさまざまな記憶障害の予防にルチン、ひいてはそれを含有するソバ外皮抽出物質同物質が応用できる可能性が示された。
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