研究概要 |
環境化学物質が、生活習慣病に関連する脂肪肝に及ぼす悪影響を明らかにすることを目的とした。具体的には、経口的に人体に曝露されうる環境化学物質の中から、異物や脂質代謝に関連の深い核内受容体・転写因子に作用する物質を選択し、それらの低用量曝露が、肥満、糖尿病を伴う脂肪肝に与える影響とその内在機構を明らかにする。また増悪メカニズムを分子レベルで解明し、ヒトにおける健康影響評価に外挿する。さらに、健康影響評価に適用可能な指標(バイオマーカー)、特に、早期に変動する健康影響指標(予防的バイオマーカー)を探索し、未然防止に資することをめざすことを目的とした。 本年度は、対象環境化学物質として、PPARを活性化することが報告されているフタル酸時エチルヘキシル(DEHP)を選択した。 実験動物は、肥満、糖尿病、高脂血症、過食を伴い、理想的な生活習慣病モデル動物であるC57BL/KSJ db/dbマウスとコントロールマウス(C57BL/KSJ db/+m)を使用し、下記の実験群で、投与(曝露)を施行した。 1.db/+m-vehicle曝露群(オリーブオイル(環境化学物質を溶解した溶媒)) 2.db/+m-DEHP曝露群(0.04,0.8,16mg/kg/day) 3.db/db-vehicle曝露群(0.04,0.8,16mg/kg/day) 4.db/db-DEHP曝露群(3濃度設定) Vehicleもしくは環境化学物質は、6週齢から12週齢まで、週に1回、曝露を施行した。最終曝露の24時間後に剖検した。その結果、血中総コレステロール、トリグリセライド、HDL量が濃度依存的に抑制された。また、肝臓における脂肪変性もこれと並行した。
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