研究課題/領域番号 |
20659131
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研究種目 |
萌芽研究
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
中里 雅光 宮崎大学, 医学部, 教授 (10180267)
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研究分担者 |
松元 信弘 宮崎大学, 医学部, 助教 (70418838)
柳 重久 宮崎大学, 医学部, 助教 (60404422)
京楽 由佳 宮崎大学, 医学部, 医員 (90404425)
小玉 剛士 宮崎大学, 医学部, 医員 (80404424)
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キーワード | グレリン / 慢性呼吸器疾患 / オクタン酸 / 橋渡し研究 |
研究概要 |
慢性呼吸器疾患におけるグレリンの病態生理学的意義の解明と臨床応用を目指して、以下の研究を実施し、予想を超える成果を得た。 1)慢性呼吸器疾患患者の血漿中グレリン値(アシル化グレリンとデスアシルグレリン)を測定し、健1常者に比較して高値であることや体重減少の著しい患者ではアシル化グレリンが低値であることを明らかにした。アシル化に必要なオクタン酸を経口的に十分補充することで、アシル化グレリンが増加し、食欲が亢進した。以上の結果から、低体重の慢性呼吸器疾患患者の栄養状態の改善にオクタン酸摂取によるアシル化促進が有効である可能性が推察された。 2)慢性呼吸器疾患患者にヒト合成グレリン2μg/kg体重を連日朝夕、経静脈的に投与し、体重や血清蛋白、内臓蛋白の増加を確認した。また、GHは変化しなかったが、IGF-1が増加した。 3)慢性呼吸器疾患患者に対するグレリン投与の二重盲検無作為化比較試験の実施準備を整えた。プロトコルの作成、アウトカムの決定、必要症例数の算出、ペプチドの準備を整え、倫理委員会の審査を終了し、臨床試験を開始した。 本研究では、慢性呼吸器疾患患者の栄養改善にグレリンやオクタン酸摂取が有効であることを示した。また、ヒトへのグレリン投与を開始し、医療応用に必要なエビデンスの確立へ大きく前進したことから、予定通りグレリンの「橋渡し研究」を実現したと言える。生理活性ペプチドであるグレリンは抗原性獲得の可能性が低いく安全性は十分に証明されている。本研究の成果は、呼吸器疾患の新規治療法としての「グレリン治療の重要性」を科学的に実証した点で意義深い。
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