研究概要 |
昨年度に引き続き、フローサイトメトリー法にて閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)患者における心血管事故の発症リスクを検討した。対照は健康診断の受診者とした。同時に、同一サンプルを用いて、各種抗体を組み合わせた全自動血球分析装置(アボット社製セルダイン4000あるいはサファイア)にて、血小板凝集塊をスキャッタグラム上でも検討した。 OSASでは無呼吸低呼吸指数(AHI)と血小板凝集塊出現頻度に相関があり、AHIが15以上の中等症から重症ではr=0.4, p=0.05であるが、AHIが30以上の重症に限ると、r=0.6, p<0.01とより強い相関が認められ、血栓症の発症リスクが明らかに増大することが示唆された。治療効果を判定するため、CPAP療法開始1ヶ月後、3ヵ月後に血小板凝集塊を再検したところ、出現頻度は1ヵ月後から減少し始め、3ヶ月後には全体の約1/3の症例まで低下した。これは、CPAP療法によりリスクが回避されることを裏付ける結果と考えられた。 以上に加え、基礎的検討として、アテローム血栓性脳梗塞とOSASにおける血小板凝集塊の形成過程の違いを検討した。前者は炎症に起因する白血球と血小板の複合体の出現頻度が高いのに対し、後者では血小板のみの凝集塊の頻度が高かった。この両者の病態の違いについて、2011年2月のInternational Stroke Conference 2011にて発表した。
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