研究概要 |
平成22年度に行った実験 relaxinの食塩感受性高血圧性における組織改善効果の機序を解明。 これまでの結果から、食塩感受性高血圧症における腎線維化の原因として、低酸素刺激が一因と想定された。そのため、直接的な低酸素刺激によるrelaxinの腎に対する低酸素マーカーや炎症マーカーに改善効果が認められるか否か検証した。 方法:雄性ラットを3群に分け、1)無処置の正常対称群、2)腎動静脈クランプによる虚血1時間後に再還流した群、3)同様に虚血再還流処置するラットに、虚血2時間前からosmtic minipumpによりrelaxinを投与した群とした。上記を2)、3)の虚血解除後24時間でラットをと殺して、血液と腎臓を採取した。 結果:3群間での血圧の変動はみられず、relaxinの降圧効果は認めなかった。一方、血液検査では血漿クレアチニン値は、虚血群で正常群より上昇を認めたが、relaxin投与群で有意に無治療群に比較して低下を認めた。さらに腎臓のHIF-1の発現は3群共にごくわずかであった。また、炎症マーカーとして,血漿のTNF-αは、虚血刺激により著明な上昇を認めたが、RLX投与により有意な低下を認めた。(血漿TNF-α値;1)無処置群12.0±6.7、2)虚血再還流群29.0±11.1、3)虚血再還流+relaxin投与群15.0±7.4pg/mL)。腎内HO-1の発現は虚血・再還流群で上昇を認め、虚血再還流にrelaxin投与した群でも同程度であった。組織障害に比較したHO-1の発現はRLX投与群の方が有意に高値であった。 上記から、RLXには血圧変化を介さず、虚血刺激に対して抗炎症効果を示し、腎機能と組・織改善効果につながることが示唆された。
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