研究概要 |
本教室で株化したマウス培養マクラデンザ細胞(NE-MD, Yasuoka et al, 2005)は、脳に発現する神経型一酸化窒素合成酵素nNOS (150kD)に比べ分子量が半分以下であったが、特異的マーカーとして有効なnNOS蛋白(65kD)を発現していた。NE-MD細胞のnNOS蛋白は、ループ利尿薬(0.012mM furosemide)の添加や低NaCl条件下で発現誘導された。NE-MD細胞に発現する特異的な膜蛋白(輸送体、チャネルなど)を遺伝子レベルで網羅的に調べるため、株化したマウス集合管由来細胞(M1細胞)とNE-MD細胞を種々の条件(5%FBS, 0.1mM Aldosterone, 0.1mM Dexamethasone添加、24時間)で培養し、mRNAを抽出し、マイクロアレイ解析を行った(GeneChip^[○!R] scanner 3000, Affymetrix)。その結果、M1細胞にくらべNE-MD細胞の方が相対的に発現量の大きいmRNAは、Trpcl, Cadherin10, Claudin6, Magi1であった。NE-MD細胞の方が相対的に発現量の小さいmRNAは、Trpc2, Trpm6, Cadherin13であった。M1細胞、NE-MD細胞共に発現量の大きいmRNAは、Trpc4ap, Trpm7, Trpv4, Cadherin1, 2, 3, 6, 16, Claudin1, 3, 4, 7, 9, Occuludin, Tight junction protein1, 2遺伝子,PDZ domain protein遺伝子であった。さらに、カリウムチャネルについては、Kcnb1, Kcnk1 (TWIK-1), Kcnk2 (TREK-1), Kcnk5 (TASK-2)が、M1細胞、NE-MD細胞共に比較的多く発現していた。これらの結果は、NE一MD細胞が尿細管上皮細胞として有効な機能タンパク遺伝子を発現していることを示す。しかし、傍糸球体装置における尿細管糸球体フィードバック機構に必須の機能ユニットを有することを証明することはできなかった。
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