最近新たに発売されたperflubutane microbubbleを用いたソナゾイドはより少量の投与で優れた造影効果を持ち、肝臓領域では悪性腫瘍の検出に優れた診断能を有している。この超音波造影剤と超音波ビームの間歇的な送信であるflash echo imagingを用いることによって実質臓器の血流状態を動脈相のみならず、実質への血流分布として非侵襲的にreal timeで観察することが可能となった。これらの背景を踏まえて、健康成人および腎疾患患者における腎実質内の血流分布の状態を観察し解析を行った。健常成人15人及び腎機能障害患者15名にソナゾイドを投与しながらflash echo imaging法を用いて腎実質内の血流分布状態を観察した。この画像の経時的変化を動画でコンピューターに保存し、画像解析ソフトWinRoofを用いて皮質・髄質それぞれに関心領域を設定することによって、造影剤が作り出す気泡の減衰曲線を求めた。このことによって皮質・髄質それぞれの血流分布を比較検討し腎皮質・髄質に関心領域を設定したTime-intensity-curveを作成・解析した。結果はソナゾイドの皮質および髄質への平均到達時間および最高輝度到達時間は腎機能障害患者で有意に遅延していた。また、皮質到達時間/髄質到達時間比も腎機能障害患者で有意に高値であった。ただし、皮質・髄質造影開始時間差と尿蛋白をはじめとする各種パラメーターとの相関は認められなかった。また腎梗塞症例では梗塞巣に一致した血流低下が明らかになった。超音波造影剤ソナゾイドは肝疾患領域だけではなく腎疾患に対してもリアルタイムに皮質・髄質の血流評価に有用である可能性が示唆された。今後さらなる症例の集積が必要である。
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