筋原線維性ミオパチー(Myofibrillar myopathy ; MFM)は、筋原線維配列の強い乱れを主な病理学的特徴とする筋疾患群で、Z線関連タンパク質の異常によるものと考えられているが、その約80%は原因不明である。本研究ではメダカを疾患モデル動物として、我々の見いだしたMFM関連遺伝子変異の導入個体を作製し、病態との関連を明らかにすることを目的とした。 メダカはすでにその全ゲノムが解読されているが、個々の遺伝子についてのmRNAの配列や発現は哺乳類と異なるものも多く、情報収集やコンストラクトの作製に時間を有する場合も多かった。現在、我々の見いだした新規のMFM原因候補遺伝子について野生型と変異型のコンストラクトを作製するとともに、保存されてない遺伝子に関してはヒト遺伝子のコンストラクトを効率よく発現させるベクターを複数検討中である。また骨格筋あるいは遅筋特異的にGFPやDs-redを発現するメダカを用いて、メダカにおける骨格筋の走行やその特徴を明らかにした。 一方、フィラミンC遺伝子変異メダカに関しては、ホモ接合体が孵化前後で死亡すること、心筋及び骨格筋に強い異常が認められることを形態的、病理学的に明らかにした。特に電子顕微鏡的観察により、骨格筋における筋原線維の走行異常が明らかであり、フィラミンCの筋原線維構築における重要性を明らかにした。現在ヘテロ接合体について経時的な筋線維変化を検討中であるが、週齢を経るにつれ、ヒトフィラミンC遺伝子変異例における筋病理変化と非常に良く似た筋原線維の構築異常が見いだされている。現在、メダカにおける各種抗体の有用性を検討しつつ、Z線構築タンパク質の変化や凝集について具体的なデータを集積している。
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