研究課題
本研究においては血管細胞の老化に焦点を絞り、ヒトES細胞に加えヒトiPS細胞から血管細胞への分化誘導を試み、血管幹細胞老化の観点から動脈硬化の病態生理を検討する。また患者ips細胞由来血管細胞による血管病変治療の方向性の探索を目指す。1.京都大学山中伸弥教授が樹立したヒトips細胞からの、脂肪細胞への分化に成功した。またipsから脂肪細胞への分化と、ES細胞から脂肪細胞への分化では、その分化挙動に大差がないことを見出した。2.ヒトES細胞から血管内皮細胞への分化と同様の手法で、ヒトiPS細胞から内皮細胞への分化に成功した。またips細胞から血管壁を構成する各種細胞への分化にも成功した。ヒトiPS細胞由来血管内皮細胞が、動脈硬化性疾患における血管再生医療に有用である可能性を見出した。3.iPS細胞において老化関連遺伝子を制御することで細胞挙動が変化し、再生医療の素材としての有用性が変化しうることを見出した。これらの成果は脂肪萎縮性糖尿病や動脈硬化性疾患に対する、ヒトips細胞を利用した再生医療の端緒となるものである。今後ips細胞から血管系各細胞への分化過程における細胞老化と、再生医療の素材としての有用性の関連を検討し、ips細胞を用いた再生医療の実現化に向けた研究をさらに推進する所存である。
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FEBS Lett. 583
ページ: 1029-1033
http://www.keio-emn.jp/