研究課題/領域番号 |
20659152
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
瀧原 義宏 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (60226967)
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研究分担者 |
大坪 素秋 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (10211799)
安永 晋一郎 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (50336111)
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キーワード | 造血幹細胞移植療法 / 造血幹細胞 / Geminin / E3ユビキチンリガーゼ / 増幅 / 活性操作 |
研究概要 |
造血幹細胞移植に利用される細胞の供給源としては骨髄細胞が使用されてきたが、現在では造血幹細胞移植のほぼ半数がさい帯を用いて実施されている。近年のさい帯バンクの充実には目覚ましいものがあるが、採取保存したさい帯血の中で移植に利用可能な細胞数を確保できるものは依然として10%程度であり、ex vivoにおける造血幹細胞の増幅法の確立が待たれる。本研究では、ノックアウトマウスやレトロウイルスベクターを駆使して、造血幹細胞の活性を支持する細胞内因子であるポリコーム複合体1やHOXB4が共にDNA複製制御因子であるGemininに対するE3ユビキチンリガーゼとして機能していることを独自に証明し、造血幹細胞の活性化にGeminin制御が根幹的な役割を果たしていることを明らかにするとともに、Gemininを用いた造血幹細胞の活性操作法の開発を目指して基礎研究を行った。表面マーカーの発現に基づき細胞ソーターを用いて採取した造血前駆細胞にGemininを高発現させると造血幹細胞の免疫学的表現型をもつ細胞が誘導されることがわかった。このことは幹細胞から分化し活発な増殖活性を示し始めた造血前駆細胞を、Gemininの導入によって造血ヒエラルキーの流れに逆らって造血幹細胞に復帰させ得る可能性を示している。しかし、誘導した造血幹細胞においてはGemininを定常的に高発現させているため、Gemininの発現低下にともなって出現する造血幹細胞の生物活性の検定ができない。そこで、Gemininと変異型エスドロゲンレセプター(MER)との融合タンパク質を発現させることにより、核内のGemininの発現を自在に操作することに成功した。この成果を基にGemininを用いて造血幹細胞の数と活性を操作する方法論の確立が可能になるものと期待される。
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