研究3年目である本年は前年度に引き続きヒト骨髄間葉系細胞の調整とプロファイリングおよびモデルマウスへの移植を重点的に研究した。ヒト由来の細胞移植には、免疫不全マウス(NOG:NOD/SCID/IL-2Rγノックアウトマウス)を利用した内耳性難聴モデルによる検討を行った。同種他家移植モデルの検討方法として、梅澤らにより分離培養された骨髄由来間葉系幹細胞を他系統マウスへ移植し免疫抑制剤の応用下での骨再生能また免疫寛容についても検討した。内耳機能の評価システム開発として、Auditory brainstem response(ABR:聴性脳幹反応)聴力評価をおこない、従来から用いられているABRを適応した。それらの病理組織学的な検討を行った。内耳性難聴モデルマウスに対する細胞治療の供給源としてのヒト骨髄間葉系細胞の調整とプロファイリングとして、既に国立成育医療センター倫理委員会にて承認されている(受付番号49平成15年11月承認)、分離培養したヒト骨髄間質細胞の性質を細胞表面マーカー、gene arrayを用いたプロファイリングを行い細胞の有する性格を検討した。そのデータを利用して、これらの細胞が多分化能を有す状態を保つ培養条件を確立した。また、内耳性難聴モデルマウスに対して、調整した間葉系幹細胞の移植並びにその治療効果を検討した。具体的には、内耳の蝸牛窓に間葉系幹細胞を注入した。
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