研究課題/領域番号 |
20659170
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研究種目 |
萌芽研究
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
杉山 隆 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (10263005)
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研究分担者 |
佐川 典正 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00162321)
紀平 知久 三重大学, 医学部附属病院, 医員 (20456742)
梅川 孝 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (80422864)
神元 有紀 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (90422865)
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キーワード | 糖尿病 / 酸化ストレス / アポトーシス / 先天奇形 / thioredoxin |
研究概要 |
母体糖尿病による胎児合併症を防止するためには、その発生機序を解明することが重要であると考えられる。近年、糖尿病とその合併症の成因に酸化ストレスが深く関与することが明らかになってきており、母体糖尿病による胎児奇形の発生機序についても、酸化ストレスの関与が示唆されている。本研究では、まず初年度に先天奇形への酸化ストレスの関与や酸化ストレスのシグナリングに関する機序を解明することを目的とする。その後治療への応用可能性につき検討するのみならず妊娠中に生じるインスリン抵抗性の機序として酸化ストレスの関与を分子生物学的に検討する予定である。 母体糖尿病による先天奇形の発生機序に関する検討の成果について概説する。生体内に広く分布する抗酸化物質であるthioredoxin(以下TRX)を過剰発現するマウス(TRX-tg)を用いて母体糖尿病における胎仔の先天奇形発症が抑制されることを確認した。またTRX-tg群では、酸化ストレスの指標であるthiobarbituric acid reactive substances(TBARS)の発現が低かったことより、奇形発生には酸化ストレスが関連する可能性を示した。さらにTRX-tg群においてアポトーシスのシグナル上重要であるcaspase-3の発現が低く、先天奇形とアポトーシスの関連が明らかとし、現在、論文を投稿中である。 今後、二光子レーザー顕微鏡を用いて胎仔の器官形成期に抗酸化物質(TRX)を投与することによって奇形発生が予防可能かどうかを、母獣が生きたまま経時的に観察する予定である。本検討は、抗酸化物質の臨床応用への第一歩となる検討であり、意義深いと考えている。
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