研究課題
萌芽研究
標識抗体を用いるがんのアイソトープ治療では、標識抗体の肝臓などへの非特異的な集積を低減してがんへの集積を促進するため、標識抗体は大過剰の非標識抗体と同時投与される。これにより非特異的な集積は低減されるが、その一方で、非標識抗体は標識抗体とがん細胞の抗原との結合を阻害するためがんへの集積をも低減する。申請者らは標的に対する非標識抗体の阻害を低減する目的で抗体の多価効果に着目した。すなわち、1価の抗体が極微量に存在する標識薬剤との反応により極微量の2価の標識抗体を生成できれば、非特異的な集積は大過剰存在する1価の非標識抗体により解消され、かつ、多価効果により2価の標識抗体が1価の非標識抗体に比べて高いがんへの集積を達成すると考えた。これを検証する目的で、1価抗体として抗体Fab'フラグメントを選択し、抗体分子のチオール基同士を架橋して安定な2価の標識抗体を与えるビスマレイミドを有する放射性ヨウ素標識薬剤の設計、合成を計画した。本年度は、ビスマレイミド誘導体の化学合成を行った。フェニレンジアミンを母体として、この2位に放射性ヨウ素を導入するため、その前駆体である有機スズの導入反応を行った。しかし、フェニレンジアミンへの有機スズの導入反応収率はきわめて低かったため、これに代わり、テレフタル酸を母体に選択し、この2位への有機スズの導入、次いで、末端にアミノ基を有するマレイミド誘導体との結合反応を考案した。現在、この経路で化学合成を進めている。本年度の夏前にはプロットタイプの標識薬剤を合成し、その後、抗体との架橋反応、本標識抗体の体内動態についての評価を実施する予定である。
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http://www.p.chiba-u.ac.jp/lab/housha/