研究課題/領域番号 |
20659192
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
中山 守雄 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (60164373)
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研究分担者 |
原武 衛 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (40325668)
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キーワード | アミロイド / 異常プリオン / 放射性薬剤 / SPECT / 分子イメージング |
研究概要 |
致死性の神経変性疾患であるプリオン病の発症過程では、生体内に存在する正常型プリオンタンパク(Native conformer)が構造変換して凝集し、アミロイド構造を有する感染性タンパク質凝集体「プリオン」(Killer conformer)を形成する。このKiller conformerへの構造変換過程の詳細はいまだ明らかではないが、生体内のKiller Conformationの画像化は、プリオン病発症の早期診断につながることが期待できる。 (1) Killer Conformationの中核構造となるペプチド凝集体に関する検討 酵母由来のSup35は、自身のミスフォールディングを伝播し、自己凝集してアミロイドを形成するため、プリオン様タンパク質と呼ばれる。Sup35のプリオン形成ドメインから抽出されたペプチド断片GNNQQNYは、Sup35凝集体の中核であるアミロイド(Cross-β)構造を形成する。本研究では、プリオンタンパクのKiller conformationの伝播に関する知見を得るため、GNNQQNYの自己凝集挙動およびそのアミロイド構造の伝播について検討した結果、GNNQQNY分子は衝突頻度に依存して凝集しアミロイドを形成し、形成された凝集体のアミロイド構造は、自己だけではなく、条件次第では異種のタンパクへも伝播され得ることが明らかとなった。 (2) プリオン結合性を示す化合物の設計と合成 近年、マラリア治療薬であるキナクリン(QA)がin vitroにおいてPrP^<Sc>の蓄積を抑制することが報告され、プリオン病の治療を目的とした臨床研究に使用されてきた。QAの作用機序は明らかにされていないが、QAがPrP^<Sc>と何らかの相互作用をしている可能性があり、アミロイドイメージングプローブの候補化合物となることも十分に考えられた。そこで本研究では、^<125>I標識QA及びアクリジン(AC)誘導体を合成しアミロイドイメージングプローブとしての評価を行った結果、^<125>I標識AC誘導体はAβイメージングプローブとしての基本的性能を有することが示され、さらなる基礎的検討を行うことでPrP^<Sc>イメージングプローブとしても応用できる可能性が示された。
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