研究概要 |
脳虚血発症直後に壊死により不可逆的に進行する虚血中心の梗塞巣に加えて、虚血周囲部で起こるアポトーシスによって梗塞巣は拡大していく。われわれはS100Bに関する研究からアストロサイトの活性化アストロサイトへの変化がニューロンのアポトーシスに深く関与していることを明らかにしてきた。活性型アストロサイトへの変化を抑制する脳保護剤も開発されつつあり今後の応用には画像による評価と活性化アストロサイトの相関を知ることが重要と考え、本研究を立案した。本研究ではWinstar Ratに10分間の錐骨動脈と総頚動脈の4側血管の閉塞と再開通をいって、海馬を中心に遅発性の壊死が発生する脳虚血モデルラットを作成した。経過をMRI測定の24時間前にMn投与してMRI撮影した。血液・髄液中のサイトカインの変化を測定し、摘出脳の組織とS100Bの免疫染色を行った。海馬における神経細胞の脱落はday5に観察され、髄液中のIL-1、Il2、IL6の上昇がday2、Th1・Th2はday5に上昇がみられた。S100Bはday2,3で増加がみられた。MRIではMn投与によるCA1,Ca2での造影効果がday3に見ることができた。本研究によって遅延して発生するneuron脱落領域をMRIにて描出できる可能を見出し、S100Bと活性化アストロサイトの出現、サイトカインの関係を検討することができた。脳保護剤による修飾を検討することによってこれらの関係はより明確になると思われ、今後の研究課題であるが、一過性全脳虚血脳の基礎となるデータを構築することができた。
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