研究課題/領域番号 |
20659201
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研究種目 |
萌芽研究
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
高尾 尊身 鹿児島大学, フロンティアサイエンス研究推進センター, 教授 (80171411)
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研究分担者 |
新地 洋之 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (60284874)
丁 強 鹿児島大学, フロンティアサイエンス研究推進センター, 研究員 (80457647)
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キーワード | 膵がん / 癌幹細胞 / CD133 / NOD / SCIDマウス / 腫瘍形成能 / sphere form / CD44 / progenitor cell |
研究概要 |
【目的】膵癌に対する新しい治療戦略の確立を目的として癌幹細胞に対する研究を以下の項目で推進している。(1)膵癌細胞株を用いた膵癌幹細胞の同定、分離、分子生物学的解析、悪性度(浸潤・転移)との関連性、薬剤感受性などの基礎的研究と、(2)臨床材料を解析対象とした膵癌幹細胞マーカー発現の有無、臨床病理学的因子との関連性。 【結果】(1)フローサイトメーター(FACSAria)による癌幹細胞マーカーの解析:各種膵癌細胞株の比較でCD133高発現株と低発現株のあることが判明した。(2)Sphere form assay: stem cell culture medium (serumfree)でのsphere form形成を細胞株で比較した結果、高〜低形成能をもつ種々の細胞株が認められた。(3)NOD/SCIDマウスを用いた腫瘍形成能をCD133陽性と陰性細胞で比較した結果、CD133陽性細胞が腫瘍形成能を示す株と、CD133陰性細胞が腫瘍形成能を示す株とが存在した。(4)CD133,CD44およびCXCR4はin vivoとin vitroで異なる発現頻度を示した。(5)migration assay:CD133陽性と陰性細胞との比較で、CD133陽性細胞が有意に高遊走能を示す細胞株を同定した。(6)切除膵癌組織でのCD133発現と患者の生存期間、再発、臨床病理との解析では、CD133発現膵癌症例は予後不良であった。 【結論】膵癌のCD133陽性細胞は高い腫瘍形成能および遊走能を有し、膵癌におけるcancerstem cellまたはprogenitor cellの可能性が示唆されたが、一方ではCD133陰性細胞が腫瘍形成能をもつ細胞株の存在も明らかとなり、さらなる研究を推進している。
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