本研究では、ラビング法によるナノ・マイクロパターン化表面を用い、従来は極めて培養が困難であったヘテロ細胞集合体の集積化をはかり、さらに異種細胞種による巨大化を試みる。臓器は様々な細胞から構成されているが、このような集積化が可能となれば細胞はより生体環境に近い状態で培養され、機能を長期間維持することが可能となる。さらに、最終的には臓器再生を目指した細胞群の巨大化を検討するが、その場合細胞集合体への血管導入が最大の障害とが、血管導入に関しても検討した。 本年度は、肝実質細胞、非実質細胞の集合体であるスフェロイドの共培養を検討し、さらに血管内皮細胞との共培養により血管導入も試みた。実質細胞、非実質細胞の共培養よりヘテロなスフェロイドの作製にも成功、アルブミン分泌量を測定し従来スフェロイドと変わらず高い値を示した。さらに、スフェロイドの巨大化にも取り組み、培養条件の最適化(培地酸素量の増大)により長期間細胞機能を維持できることも明らかとなった。血管内皮細胞との共培養では、機能の維持だけでなく、スフェロイド同士の接着を促進することも明らかとなった。 さらに脾臓へのスフェロイド移植も行った。実験は現在も継続中である。
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