研究課題/領域番号 |
20659204
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
古川 博之 旭川医科大学, 医学部, 教授 (70292026)
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研究分担者 |
尾崎 倫孝 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特任教授 (80256510)
竹澤 俊明 農業生物資源研究所, 遺伝子組換え家畜研究センター, 主任研究員 (50301297)
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キーワード | 生体材料 / コラーゲン / ビトリゲル / 癒着防止 / 薬物徐放 / 生体イメージング |
研究概要 |
本研究では、コラーゲンビトリゲルを使用目的に応じてデザインおよび作製し、細胞レベル・小動物疾患モデルによる有効性の確認とその機序を解析する。H21年度には、コラーゲンビトリゲルをもちいて、以下の研究テーマを検討した。 1)コラーゲンビトリゲルをもちいて、これをシート状に加工し、それがマウスにおける腹腔内手術後の癒着防止効果を病理・組織学的に解析した。マウスにおける肝切離面の癒着防止効果を、組織切片を作成して検討し、肝細胞壊死の抑制を認めた。 2)HGF徐放能を付加したコラーゲンビトリゲルのin vitroでの徐放性とマウスモデルによる肝虚血・再灌流傷害への抑制効果のメカニズムを解析した。 HGF混和ビトリゲルシートは、数時間にかけて徐放能を示すことが確認された(in vitro)。マウス肝70%虚血および再灌流モデルを用いて、予めHGFを混和したビトリゲルシートを張り付けておくことで、再灌流後の傷害を有効に抑制した。組織学的検討、血液生化学的検討により、傷害の有意な抑制を確認した。肝内に浸透したHGFにより、再灌流直後の酸化的ストレスは抑制され、カスパーゼ活性の抑制によってアポトーシス(ネクローシス)も抑制されており、これが主因となって効果を示したものと考えられた(生体イメージング法による確認)。 ビトリゲルのデザイン・作製の過程において、新たにゲル内にHGFなどのサイトカインを包含させることで様々な付加的な効果が期待されることが明らかとなった。これは、本研究の成果をより高いものにし、広く再生医療分野への応用の可能性を期待させる知見であると考えられた。
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