研究概要 |
教室の肝癌データベース(92例の肝癌・慢性肝疾患における12,600遺伝子の発現データマトリックス)から絞り込んだ101遺伝子(0.8%)を対象に、CpGplot/CpGReport/Isochore (European Bioinformatics Instituteのweb site)にアクセスして開始コドンから約3Kb上流(本申請研究にてプロモータ領域と定義)のCpGマッピング解析を行い、CpGアイランドを有す遺伝子を網羅的にサーチした。このステップで101遺伝子中、23(0.18%)遺伝子が我々の定義するメチル化遺伝子であることが判明した。この23遺伝子に関しては、20例の肝癌由来のDNAを用いて、BIS処理後のパイロシーケンスを行い、高分化型かつ小肝癌に特異的にメチル化されたABCC9(ATP-binding cassette, sub-family C, member9)、APOF (apolipoprotein F)やHAL (histidine ammonia-lyase)を含む6遺伝子を同定するに至った。さらにこの遺伝子のいくつかに関しては定量的メチル化特異的PCR(QMSP)法を確立し、その成果を論文報告した(Moribe et al, Int J Oncol2008)。また、肝癌症例においてQMSPを用いた既知のメチル化遺伝子のメチル化状態を定量解析したところ、3つのメチル化遺伝子(RASSFIA,CCND2,HAI-2)の情報を基に、高精度の肝癌診断システムの開発に成功し、これを論文報告した(Moribe et al, Int J Cancer in press)。
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