消化管間質腫瘍(GIST)のうち約90%が、消化管ペースメーカー細胞カハール介在細胞(ICC)において発現しているc-kit遺伝子の機能獲得型突然変異によるICCの異常増殖に起因していると考えられている。GISTの確定診断において生検組織の抗c-kit抗体による免疫染色がおこなわれている事から、抗c-kit抗体を画像診断用のプローブとして利用できれば非浸襲的にGIST判定が可能となる事やFDG-PETによる検出が困難な再発の初期診断にも有用となることが考えられる。本研究ではヒトGISTの新規画像診断法の確立を目指し、GISTの診断マーカーであるc-kitに対する抗体を用いた画像診断用PET/SPECT用プローブを開発することを目的とし研究を行っている。昨年度までに、モデル細胞および細胞移植によるモデルマウスの樹立に成功し、モノクローナル抗体(IgG)を用いた基礎検討を終了している。本年度は、基礎検討の再現性を確認するために、以下に掲げる実験を遂行した。 1・画像診断プローブとして最適な抗c-kitモノクローナル抗体をI-125およびIn-111にて放射標識をおこなった。 2・I-125およびIn-111の抗体への標識効率の確認。 3・放射標識抗体の細胞を用いたin vitro実験による結合率、免疫活性、親和性の再確認。 4・担ガンマウスを用いた放射標識抗体の体内動態。 5・放射標識IgGによるSPECTイメージング。 これらの再現性を確認した後、これまでの内容を投稿論文としてまとめた。
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