研究課題/領域番号 |
20659215
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研究種目 |
萌芽研究
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
竹村 博文 岐阜大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20242521)
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研究分担者 |
島袋 勝也 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (20362163)
宮内 忠雅 岐阜大学, 大学院・医学系研究科, 非常勤講師 (00324301)
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キーワード | 血管内膜肥厚抑制 / 薬剤徐放 / 動静脈吻合モデル |
研究概要 |
冠動脈バイハス術において、動脈グラフトの使用は術後成績を向上させることが証明されたが、現実には依然静脈グラフト使用もあり、その頻度は低くない。その静脈グラフトの長期開存を獲得することは成績向上には重要な課題である。 今回、頸動脈結紮後に静脈を用いたバイハスモデルを用いて、薬剤投与による内膜肥厚抑制効果を検討した。内膜肥厚抑制方法として、申請に挙げたハイドロゲルにさまざまな薬剤を含浸させて徐放的に薬剤を作用させて、できるだけ長期間にわたって薬剤を作用させる工夫を行った。薬剤はアドリアマイシン、ハクリタクセルを用い、ハイドロゲルに含浸させ、動脈、静脈吻合部を被覆した。 術後1日、7日、14日、21日に犠死させ、動脈静脈吻合部を採取し、内膜中膜比を測定した。コントロール群に比して、アドリアマイシン、パクリタクセル投与群では有意に内膜中膜比が減少し、内膜肥厚が抑制されていた。アホトーシス、細胞分裂指標などの検討でも、細胞分裂の抑制が見られ、アドリアマイシン、ハクリタクセルの作用機序も証明された。 今回の結果は冠動脈バイハス術のみならず、下肢閉塞性動脈硬化症のバイハス術においても、脳血管血行再建術のおいても応用可能であり、動脈硬化性疾患の術後成績向上に大きな意義を有すると考えられる。薬剤の徐放が本当に有効か、あるいは他の投与方法(局所投与か全身投与かなど)も可能かは検討の余地がある。今後薬剤の濃度を変更し、至適濃度の検討、多臓器への悪影響の有無を検討する。
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