研究概要 |
1.中枢神経系リンパ腫の発生と免疫グロブリンの遺伝子再構成に関して 中枢神経系リンパ腫治療後に、頭蓋外にリンパ腫が発生してきた症例、および頭蓋内の遠隔再発が見出された症例について、昨年に引き続き両者が同じクローンであるか否かを調べた。具体的には以下の実験をおこなった。免疫グロブリンのH鎖可変部に存在する3つの超可変部(CDR1,CDR2,CDR3)のうち、特にCDR3に注目し、各サンプルのこの部位の全塩基配列を決定した。CDR3の増幅は、2段階のPCR(nested PCR)により、目的の領域を増幅させ、TAクローニングによりプラスミドに導入し、全塩基配列を決定した。加えて、新たな遺伝子の変異の有無に関して調べた。 2.脳腫瘍の発生に関わる遺伝子の発現および機能に関して 各種遺伝子の異常発現をスクリーニングする課程で、以下の2つの遺伝子が脳腫瘍の発生に深く関与することを明らかにした。(1)DUSP26遺伝子の発現低下が、細胞間接着の低下を引き起こし悪性化の原因となることが示唆された(Oncogene 2010)。(2)CDC25Aの発現がKi-67値と高い相関を示すことを明らかにした(J Neurooncol in press)。
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