難病指定である大腿骨頭壊死症に対して人工関節手術を回避可能な骨再生による治療が求められている。本研究の目的は大腿骨頭壊死動物に対する自己骨髄細胞移植術モデルを作製し自己骨髄細胞移植およびCbfal/Runx2の細胞への導入による骨再生効果を評価することである。昨年度は壊死モデルの確立、移植後の組織学的評価が主体であった。本年度はさらに足根骨凍結壊死モデルを利用した実験をすすめた1)大腿骨頭壊死を再現し得る骨壊死動物モデルの確立(昨年度) 至適週齢、ステロイド投与量、投与時期等の確認を行い、約60%以上の確率で大腿骨頭の壊死を認めており、これまでの報告と同様の結果を得た。 2)自己骨髄細胞移植術モデルの確立 壊死モデルラットに対して骨盤骨より自己骨髄血の採取を行い、2回遠心法により赤血球層とplatelet poor plasmaを排除し有核細胞層を採取、股関節の後方アプローチで大腿骨頭近位部を展開し壊死骨頭に穿孔、Runx2遺伝子導入間葉系幹細胞を注入移植した。骨組織の形態計測により再生、壊死の評価を行った。組織学的には、コントロールに比較し、壊死領域の縮小、骨再生が更新することを報告した。しかし、注入細胞の分化、増殖についてのトレースがまだ不十分であり、移植後の細胞挙動の解析を次年度の課題としていた。 本年度、これまでの壊死モデルに、コントロールでも再生を認め、よりよいモデルの確立のために、ウサギ足部足根骨を摘出、凍結により骨壊死を作成後、皮下包埋による骨髄血移植後の壊死骨の再生を評価した。 コントロールに比較し、骨髄血移植での良い再生を認めた。さらに、上記の濃縮骨髄血移植での評価のために、足根骨モデルを同様に作成し、組織評価、骨形態計測での評価を行い、凍結壊死モデルの妥当性、骨再生の優位性の結果を得ている。結果は今後発表予定であるがさらに、この濃縮骨髄血に対してのRunx2遺伝子導入による評価を予定している。
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