周術期や集中治療における脳虚血の予防法と、脳虚血が生じた場合に、その程度を如何に軽度にとどめ、早期に回復を促進するかについて検討を進めている。臨床の現場においては、予防的な対策が採れる場合は限定的であり、一度確立した神経障害に対しては、保存的な処置やリハビリテーション的な管理が治療の中心であるが、早期診断のための予見法の確立は重要と思われるので、診断法の一助となる脳血流評価についても研究を行った。また、残存した神経細胞の機能維持、機能補填による機能温存にとどまらず、積極的な神経再生を促進する治療法に関しても解析を進めている。特に、成熟脳やその他の成熟神経組織においても存在する未分化な細胞を合目的に誘導分化させる方法を開発することを目指している。神経障害後など神経組織の修復が必要な状況で、内因性に活性化され再生促進に寄与する可能性が示唆されている因子にフォーカスを当てている。今回の研究では、先祖帰り制御因子Notch ligand操作にによる再生促進を試みた。 脳血流評価に関する研究では各種の鎮静・麻酔薬が脳血管の反応性に影響を与え、いわゆる自動調節能に変化が惹起されることを確認した.栄養因子の血管再性能に関する研究も、まずは末梢循環をモデルとして臨床研究において効果と副反応について解析を行った.こちらの研究からも血流再開による機能回復に関する知見が得られ、今後の臨床応用に向けての基礎データと考えている.これらに加えて、再生環境を整えることも重要であることから、神経突起再生に至適なグルコース濃度についても解析を進めている.
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