研究課題/領域番号 |
20659246
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研究種目 |
萌芽研究
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
澄川 耕二 長崎大学, 大学院・医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60028660)
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研究分担者 |
上園 保仁 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (20213340)
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キーワード | オピオイド受容体 / GABAB受容体 / Gi / o共役型受容体 / 耐性 / 電気生理学 / FRETアッセイ / 異所性遺伝子発現法 / 二量体化受容体 |
研究概要 |
緩和医療におけるオピオイド鎮痛法で問題となる「耐性形成」を予防できる新規投与法の開発を目的として(1)Gi/o共役型オピオイド受容体、同様にGi/oに共役するGABA_B受容体の両方のアゴニストを少量併用投与した際の細胞内シグナルおよび脱感作様式を検討した。加えて、(2)各種オピオイド製剤(モルヒネ、フェンタニル、オキシコドン)がGi/o共役型μ-、δ-オピオイドで形成される二量体化受容体に与える影響を解析した。(1)クローン化GABA_B受容体、μ-オピオイド受容体、G蛋白共役型受容体キナーゼGRK2〜6を発現させたXenopus oocyteをモルヒネ単独、バクロフェン単独、及び少量モルヒネ+バクロフェンで刺激し、内向き整流性Kチャネル活性を測定したところ、少量モルヒネ+バクロフェン併用は脱感作を起こさずにKチャネルは相乗的に活性化する傾向が得られた。このことは、これらの薬物の低濃度併用療法が、受容体脱感作(耐性)を起こさず優れた鎮痛効果を持つ可能性を示唆する。次年度は脱感作、相乗作用の様式を詳細に検討し、実用化に向けた基盤データを蓄積していく予定である。(2)Baby hamster kidney cellに、黄色蛍光蛋白(Venus)を連結させたμ-オピオイド、あるいはμ-オピオイド受容体-Venusと青色蛍光蛋白(Cerulean)を連結させたδオピオイド受容体、並びにβ-arrestin2を発現させると、μ-、δ-オピオイド受容体は二量体を形成することがFluorescence resonance energy transfer (FRET)アッセイにより判明した。それぞれの受容体をモルヒネ、フェンタニル、オキシコドンで刺激すると、μ-受容体はフェンタニル及びオキシコドンによりインターナリゼーションされたが、モルヒネではほとんどインターナリゼーションは起きなかった。一方、μ-δオピオイド二量体化受容体は全てのオピオイド製剤でインターナリゼーションされた。こうした違いが各種オピオイド製剤でみられる耐性形成機序の違いを説明できるかもしれない。さらに私たちの開発した二量体化受容体のみをアッセイできるシステムを用いて、各種オピオイド製剤による反応性や脱感作の違いについて解析していく予定である。
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