揮発性麻酔薬の作用機序については、電気生理学的、物理化学的、生化学的手法により研究されている。近年、抗体を用いて、様々な分子の細胞内の局在性を明らかにすることが可能となったが、揮発性麻酔薬に対する抗体は未だ存在しない。これらを明らかにするツールとして、揮発性麻酔薬に対するモノクローナル抗体を作製することを目的とし、以下のように研究を行った。 (1) 抗原の作製、マウスへ抗原を投与 ラットより肝臓を摘出し、超遠心により肝ミクロソーム分画を得た。 肝ミクロソーム分画にハロタンを暴露し、抗原を得た。 マウス足底に抗原を投与し。同時に、高い抗体価を得るためにアジュバントを投与した。 (2) 脾臓細胞の調製、ミエローマ細胞と細胞融合 免疫後のマウスより膝窩部のリンパ節を摘出し、メッシュを通過させ、細胞浮遊液を得た。 ミエローマ細胞浮遊液とリンパ球細胞浮遊液を混合し、センダイウイルスを用いた系により細胞融合を行った。 (3) ハイブリドーマ細胞の選択、クローニング、培養液上清より抗体の調製 HAT培地で培養することにより、ハイブリドーマ細胞のみを選択し、限界希釈法により、個々のハイブリドーマ細胞を分離し、培養した。 個々のハイブリドーマ細胞のクローンの培地上清より、抗体を得た。 (4) ELISA(第一のスクリーニング) ラット肝ミクロソーム分画、ハロタンを暴露したラット肝ミクロソーム分画を抗原として、各々のハイブリドーマ細胞のクローンより得た抗体と反応させ、ハロタンを暴露したラット肝ミクロソーム分画でのみ抗原抗体の結合をみとめたハイブリドーマ細胞のクローンを選別することを試みた。 昨年度に引き続き2回独立してスクリーニングを行ったが目的とするクローンを得ることができなかった。
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