研究概要 |
【目的】形態学的方法しかなかったヒト生殖細胞の品質評価にメタボロミクスを応用し,細胞に対する侵襲がなく,高精度かつ客観的なヒト生殖細胞の新しい品質評価法(メタボロミック・マーカー)を確立することを目的として,ヒトARTで得られた培養液中のメタボロミック・マーカーを前方視的に分析し,その有用性を検討した。 【方法と結果】1.ヒトARTにおける胚の品質評価法の前方視的検討-バイオマーカーの継時的変動:平成20年度に検討したメタボロミック・マーカーを基に,受精後2日目から5日目までsequential media中における代謝産物の変動を継時的に測定した。これにより,発生のステージや培養液の違いによる変化を調べ,どの時点で計測するのが最良かを検討した。 2.ヒトARTにおける胚の品質評価法の前方視的検討-バイオマーカーの有用性に関するランダム化比較試験:ヒトARTにおいて,上記1)で決定したメタボロミック・マーカーと形態学的評価のどちらが優れているかをランダム化比較試験で検討した。すなわち,単一胚移植周期を,最もメタボロミック・マーカーが良好な胚を移植する周期と,最も形態が良好な胚を移植する周期とにランダムに振り分け,両者の臨床的妊娠率を比較した。
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