研究概要 |
1)ヒト不死化子宮内膜細胞にK-ras effector mutantや活性化型Raf, PI3K, Ra1GDSのcDNAが組み込まれた発現ベクターを形質導入し、それぞれが発現している細胞株の樹立を試みた。 Hygromycinやpuromycinを培養液に添加しSelectionを行い複数のコロニーを形成させたが、いずれのコロニーからの細胞は導入されたcDNAがコードする蛋白の発現は少なく解析をできなかった。現在、ラット不死化子宮内膜を用いて細胞株の樹立を試みている。 2)ラット不死化子宮内膜のSP細胞とNSP細胞を分離摂取した。RNAを抽出し、マイクロアレイを行った。NSP細胞に比べSP細胞に有意に高く発現している遺伝子が複数みとめられた。 正常子宮内膜のSP細胞とNSP細胞を分離摂取し上記遺伝子の発現をリアルタイムPCR、ウエスタンブロット法で解析した。 3)同意を得た患者の手術摘出標本から、正常子宮内膜、正常子宮筋層、腺筋症、正常卵巣、チョコレートのう腫部分の組織を採取し、ラット不死化子宮内膜、ヒト正常子宮内膜のSP細胞に有意に発現している遺伝子を選び、それらの遺伝子がコードする蛋白を免疫染色法で解析した。 正常子宮内膜の標本において、基底層に発現が亢進している遺伝子があり、子宮内膜幹細胞のマーカー候補になると考えられた。 4)同時に、子宮体癌の組織で、同遺伝子の発現を免疫染色で解析した。 3)で有意に発現が亢進していた遺伝子は、高分化腺癌より、低分化腺癌に発現が高い傾向がみとめられ、子宮体癌の分化度の指標にもなることが、示唆された。
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