研究概要 |
【実験1】ラットの頭蓋骨骨膜を採取して、開腹した後大網に顕微鏡下で縫合固定した。移植後1,2,3,4,5,6,7,8,9日目に、検体を採取してまず軟レントゲン写真を撮影した。次いで、HE染色およびKossa染色を行った。結果は、移植後4目から5日目から軟レントゲン上陰影がごく薄くみられ、移植後6~7日目で骨陰影が明瞭となった。次いで、HE染色では移植後3日目より未分化な細胞の集積が認められ、7日目から新生骨が認められた。新生骨の周囲には骨芽細胞がみられた。骨形成は骨膜の最内層で細胞の集積した部位に認められた。また、Kossa染色でも、移植後4日目から骨塩の沈着を認め、移植後7日目で明瞭となった。大網と骨膜からの骨形成を軟レントゲン写真およびKossa染色でも再確認できた。 【実験2】つぎに、頭蓋骨骨膜の巻きつける向き(骨膜の骨側と皮膚側)により、骨形成と軟骨形成に差異がないか検討した。結果は、骨膜の直接骨に接する側を大網に巻きつけた群と骨膜の皮膚側を大網に巻きつけた群の両軍とも、移植後5日目から未分化な細胞の集積が出現し、移植後7日目から新生骨がみられた。量的には骨膜の直接骨に接する側を大網に巻きつけた群に多くみられた。一方、骨膜の皮膚側を大網に巻きつけた群では、これとは別にアルシャンブルー染色で濃染する軟骨基質がみられ、軟骨内骨化様の骨化も観察された。以上から、骨膜を大網に巻きつけて移植する術式は、早期より良好に骨形成がみられた。また、骨膜の骨に接する面を大網に巻きつけ方が効率的な骨形成が得られた。
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