研究課題/領域番号 |
20659278
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
木股 敬裕 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50392345)
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研究分担者 |
山田 潔 岡山大学, 大学病院, 助教 (10319965)
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キーワード | 末梢性顔面神経麻痺 / 顔面神経再建 / 三叉神経運動枝 / neural motor source / 病的共同運動 |
研究概要 |
【はじめに】末梢性顔面神経麻痺の際に、顔面神経の中枢端が利用できない場合には神経移行や交叉神経移植術が行われる。神経移行術においてはmotor sourceとして舌下神経が頻用されているが、近年では三叉神経運動枝を用いた臨床例の報告も散見されるようになってきた。 【目的】ラットにおいて三叉神経咬筋枝を用いた顔面神経麻痺の再建モデルを作成し、これを舌下神経を用いて再建を行なった群と比較検討した。 【方法】ウィスターラット(250-300g、雌)を12匹使用し、これを正常群(group A)、三叉神経再建群(group B)、舌下神経再建群(group C)、コントロール群(group D)に分けて実験を行った。group BおよびCは術後経過2週、4週、8週、16週の4期に分けて解析を行った。解析は誘発筋電図、電顕による再生軸索の評価および逆行性神経トレーサーによる神経核のカウントにより行った。 【結果】コントロール群においては電顕で再生軸索は変性しており軸索数も少数であった。神経核のカウントでは、トレーサーで染まった神経核は認められなかった。group Bにおいては術後8週で筋収縮を認められたのに対して、group Cでは術後4週で筋収縮が認められた。神経核のカウントではgroup Bよりもgroup Cの方が逆行性に染まった神経核が多く認められた。 【考察】顔面神経麻痺の再建においては、motor sourceとして多数の運動神経を導入することが病的共同運動を予防する鍵であると考えられる。今回舌下神経の他に、三叉神経咬筋枝も利用可能であることが実験的に証明され、顔面神経麻痺の再建にさらなるオプションが付加できるものと考えられた。
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