研究概要 |
骨芽細胞分化に機能するmiRNAを同定するために,古典的Wntシグナル経路を活性化したC2C12細胞やBMP-2を加えたC2C12細胞を培養し全RNAを回収した.このRNAを用いてmiRNAの発現をアレイにて測定し,古典的WntシグナルもしくはBMP-2によって発現が変化するmiRNAを数種類同定した.同定されたmiRNAについては,Step-Oneを用いたリアルタイムPCR法によって発現量の変動を定量化した.BMP-2によりmiR-1,-133a,-206の発現が減少した.古典的WntシグナルもしくはBMP-2によって発現が増加するmiRNAについて,各種細胞における発現量をリアルタイムPCR法によって測定したところ,骨芽細胞での発現が高かった.またこのmiRNAをantagomiRもしくはsgRNAでノックダウンしたところ,アルカリフォスファターゼ活性が低下した.これらのmiRNAは,骨芽細胞特異的なmiRNAである可能性が高いと考えられた。そこで,これらのmiRNAの標的となるmRNAの候補を,データベースより検索した.また,引き続き,TRUEジーンサイレンシング法を用いたmiRNA抑制性sgRNA発現プラスミドのライブラリーを骨髄間葉系細胞であるST-2,未分化間葉系細胞であるC2C12細胞培養系に導入し,アルカリフォスファターゼ活性染色,リアルタイムRT-PCR法を用いて,Runx2,osterix,I型コラーゲン,オステオカルシン,アルカリフォスファターゼ,BSP,MEPE,MMP-13などのmRNAの発現量を測定した.これらの骨芽細胞分化と関連するmRNAが誘導されるRNAが見出された.以上の結果から,このライブラリー中のmiRNAが同定されることにより骨芽細胞分化に機能するmiRNA分子が明らかになると考えられた.
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