I型コラーゲンの発現調節に係わる骨芽細胞に特異的な転写因子を同定する目的で、I型コラーゲンを高発現する骨芽細胞株ROS17/2.8から完全長cDNAを調整し、pME18SFL3発現ベクターに組み込み、発現ライブラリーを作製した。各5個のcDNAを含むプールを調整後、ROS17/2.8細胞に遺伝子導入し、スクリーニングを実施した。その結果、3つの転写因子が同定された。それぞれの遺伝子の細胞内局在を検討した結果、核内に局在することが確認された。また骨形成因子BMP2依存性にI型コラーゲンを発現する骨芽細胞様細胞株として、SaOS細胞が有用であることを見出した。そこで、SaOS細胞にBMP2添加または非添加の条件下でRNAを採取し、Microarrayを実施した。その結果、20個の候補遺伝子群が、BMP2により発現誘導されることが示された。その中のホメオボックス遺伝子の一つが、上記の発現クローニングで同定された分子とファミリーを形成していた。さらにI型コラーゲンの発現調節に係わる分子の同定を進めるために、I型コラーゲン遺伝子プロモーターに存在する骨芽細胞特異的シスエレメントを用いて、Yeast-Two Hybridアッセイを実施し、2つのトランス因子の同定を行った。 以上のように同定された分子群が、I型コラーゲン遺伝子の発現調節に係わっている可能性が示唆され、本研究結果は、骨芽細胞分化および骨形成機構の分子メカニズムの解明に寄与すると期待される。
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