1.Yeast-Two Hybridアッセイによるクローニング I型コラーゲンプロモーター遺伝子の骨芽細胞特異的配列をbaitにしてYeast-Two Hybridアッセイを実施した。陽性クローンのうち、Prx1が含まれていた。そこで、Prx1の関与を検討するために、Prx1を過剰発現するとI型コラーゲンプロモーター遺伝子(2.3kb)が、著明に活性化された。しかしながら、Prx1は、I型コラーゲンプロモーター遺伝子の基本プロモーター領域のみを含むレポーター遺伝子を強く促進した。したがってPrx1は、骨芽細胞特異的配列より、基本転写因子に作用すると推察された。 2.超高速シークエンサーによる解析 I型コラーゲンの発現調節に関わる転写因子は、骨芽細胞の分化初期に発現変動すると推測された。しかしながら、転写因子の発現は、一般的には高くなく、マイクロアレイ解析などでは、埋もれてしまう懸念がある。そこで超高速シークエンサーを活用して骨芽細胞分化誘導過程の遺伝子発現パターンを検索し、目的遺伝子の同定を試みた。細胞としては、I型コラーゲンの発現変動を見やすい、SaOS2細胞を用いた。その結果、転写因子OsterixがBMP2による骨芽細胞分化に伴って上昇することが判明した。そこでOsterixを過剰発現させると、I型コラーゲンの発現が促進され、さらに、2.3kbのI型コラーゲン遺伝子プロモーターが著明に活性化されることを見出した。したがって、Osterixが、I型コラーゲンの発現調節に重要な役割を果たしていると示唆された。
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